発生生物学(詳しめ)

発生学基本と生殖細胞

形態形成の基本的な機能を担う遺伝子群は種を超えて共通の機能を持ち、(a)__と総称される。ホメオドメインを持つHox遺伝子、RIEG, Pax,…、HLHを持つMyoD, Hes, Mash, Twist、TGFβシグナル経路にかかわるBMP, TGF-β, Smadや、HedgehogやNotchやWinglessシグナル経路にかかわる遺伝子は種間で保存されている。新生児の約(b)__%が何らかの形態・機能的障害をもって生まれ、多くの場合は複数の遺伝子と環境要因の複合的な影響による。

2007年に成功したiPS細胞の作製では4種の遺伝子(_,_,_,_)を皮膚細胞に導入することによる。

(a)ツールキット遺伝子 (b)3% (c)Oct3/4, Sox2, Klf4, c-myc


生殖細胞の発生では、3週に原始生殖細胞が出現し、4~6週にそれが背側腸間膜を通って胚子内の(a)__へ遊走する。胎児期に原始生殖細胞は(b)__もしくは__細胞に分化し、胎生7か月で女性では(c)__が起こる。

思春期、男性では精祖細胞が(d)__して__できる。女性では月経周期が始まり、周期ごとに(e)__。思春期に精祖細胞の分化(有糸分裂)を引き起こすのは(f)__である。精子細胞から精子ができる過程で先体が作られ、(g)__の上皮から腔側に放出される。

女性では、出生時に卵巣にあるのは(h)__細胞で、受精がなければそのまま排卵される。第二減数分裂が完了するのは精子が侵入したときである。モノソミーの先天異常はあまりないが、(i)__症候群(45X)が知られている。

(a)生殖隆起へ原始生殖細胞が遊走 (b)胎児期に精祖細胞または卵祖細胞に分化する (c)7か月ですべての卵祖細胞は一次卵母細胞になり第一減数分裂を開始する(第一減数分裂前期で停止する)。卵母細胞は卵胞細胞に包まれて原始卵胞ができる。 (d)精祖細胞が順次、一次精母細胞に分化し、1個の精母細胞から4個の精子細胞ができる (e)数個の一次卵母細胞が減数分裂を再開し、1個の卵細胞が排卵される。 (f)下垂体から分泌されるLH(黄体形成ホルモン) (g)精細管 (h)一次卵母細胞 (i)ターナー症候群

*原始生殖細胞の遊走についてはp15のイラストが分かりやすい。


排卵から着床

女性では思春期に一次卵胞から二次卵胞が形成され、月経周期ごとに(a)__卵胞になる。卵母細胞は排卵直前に第一減数分裂を終了―第二減数分裂を開始し、排卵後半日以内に受精すると第二減数分裂を完了、接合子(受精卵)が形成され、卵割しながら卵管内を移動し、(b)__を形成する。それが(c)__に分化すると透明帯から抜け出してさらに大きくなり、子宮腔内に入って着床する。

以下のようにホルモンが作用する。卵胞は下垂体前葉から分泌される(d)__により発育する。排卵を誘発するのは(e)__で、残った卵胞壁の顆粒層や周囲の卵胞膜細胞が黄体に変化する。ここから分泌される(f)__は子宮内膜へ作用し、分泌を促して着床へ備える。プロゲステロンは下垂体からのFSH分泌を抑制するので、この間は新しい卵胞の成熟は起こらない。妊娠が成立した場合、胎盤の栄養膜合胞体細胞から分泌される(g)__の作用により卵巣内で黄体が2-3か月持続する(これがしばらくプロゲステロン分泌を続ける)。妊娠が成立しなかった場合は、黄体を維持していた(h)__の分泌が低下し、黄体は退縮して白体となる(プロゲステロンに代わってFSHが増加し、次の卵胞成熟が始まる)。なお、下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH, LH)と卵巣ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を分けて月経周期での濃度変化を考えると理解しやすい。

透明帯は一次卵胞の周りに張り付いている卵胞上皮細胞から分泌される粘液多糖類などから作られる。この上皮細胞が透明帯の周りで多層になっているのは「二次卵胞」である。(p24イラストが分かりやすい)。月経周期ごとにいくつかの卵胞が二次卵胞になるが、そのうち1つのみが「成熟卵胞」になる(p25のイラストが分かりやすい)。 この成熟細胞が破れると中の卵母細胞が(透明帯や数層の卵胞上皮細胞とともに)放出され、これが排卵(ovulation)である。このとき第二減数分裂を完了はしていないことに注意。二次卵母細胞として放出される。

(a)成熟卵胞(グラーウ卵胞) (b)桑実胚 (c)胚盤胞 (d)FSH(卵胞刺激ホルモン) (e)LH(黄体形成ホルモン) (f)プロゲステロン(黄体ホルモンと呼ばれ、黄体から分泌される) (g)hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) (h)LH


接合子の形成

先体反応は精子の先体(=ゴルジ装置に由来する分泌顆粒)の開口放出とみなすことができ、透明膜を分解する酵素(など)が分泌される。精子頭の核、中間部のミトコンドリアが卵細胞質に入るがミトコンドリアは変性して消失する。 精子成分が卵細胞質に入ると(a)__が起こる。

受精の完了後、初め1日1回ほどのペースで(b)__が起き、それぞれの細胞が3~4回分裂した頃をその外観から(c)__と呼ぶ。この段階では透明帯に包まれているが、後期(c)になると細胞膜にE-cadherinほかギャップ結合、タイト結合、デスモソームなどが形成され、この現象を胚の(d)__と呼ぶ。桑実胚の段階までは細胞は全能性を持っている。

(a)卵細胞の細胞膜下の皮質顆粒からCa2+が透明帯との間に分泌され、精子との結合が阻止され、第二減数分裂が再開される(→二次極体を放出した二次卵母細胞になる)。 (b)卵割 (c)桑実胚(morula) (d)コンパクション


受精から3-4日目に胚は透明帯から脱出し(ハッチング)、細胞間結合は発達して上皮様となり、全周を取り囲んで内部に細胞間腔(液体が貯蔵)を形成する。この状態を(e)__と呼ぶ。(e)が受精後(f)_日頃に子宮内膜に接着し、一部プロテアーゼにより融解した子宮内膜上皮の中に胚盤胞の(f)__が侵入していく。これが着床(implantation)である。

(e)胚盤胞(blastocyst) (f)栄養膜(胚盤胞腔を取り囲む部分、p33イラストが分かりやすい)


二層性胚盤(発生2週、着床以後に起こること)

受精6日後に胚盤胞の栄養膜が子宮内膜上皮に侵入していく。栄養膜は、7日に栄養膜細胞層(栄養膜が子宮内膜上皮と連なったもの)と、その外側の(a)__に分化する。8-9日に胚は子宮内膜に埋没、(a)が(球形に)胚全体を包む。一方、内部細胞塊は(c1)__(内部に(b)__腔)と(c2)__に分化し、これを二層性胚盤という。

*上の文章をまとめると:
・栄養膜組織→内側の栄養膜細胞層+外側の栄養膜合胞体層の2つに分化。
・内部細胞塊→胚盤葉上層(epiblast)+胚盤葉下層(hypoblast)に分化。(前者の内部に羊膜腔がある)

9-10日頃に栄養膜細胞層の内側に(d)__が形成され始め、胚盤葉上層・下層を栄養膜細胞層から分離する。胚盤葉下層の細胞が(d)の内面を広がり球形となって(e)__を作る(p38のイラストを見よう)。2週目の後半には、胚外中胚葉の中に腔ができ、後で融合して胚外体腔が作られる(後の絨毛膜腔)。一方、栄養膜合胞体層にできた腔隙には母体血液が流入して子宮―胎盤循環が始まる。また、羊膜腔(=上胚盤葉に囲まれた部分)に対して、(f)__(=下胚盤葉に囲まれた部分)もできる。これら(胚盤=上胚盤葉・下胚盤葉)は中胚葉性の付着茎(後の((g)_)によって絨毛膜につながった状態。

*上の文章をまとめると(2週終わりに):
・胚盤葉下層(下胚盤葉)が球形に広がり、中に二次卵黄嚢ができる。
・栄養膜細胞層の内側に胚外中胚葉ができ、これらは後で大きく消失して(胚外体腔となり)栄養膜細胞層から胚盤葉下層を分離する。

(a)栄養膜合胞体層 (b)羊膜腔 (c)胚盤葉上層(上胚盤葉)と胚盤葉下層(下胚盤葉) (d)胚外中胚葉 (e)一次卵黄嚢 (f)二次卵黄嚢 (g)臍帯

その他重要知識:
・栄養膜細胞層からhCGが分泌される。
・栄養膜合胞体層は多核の合胞体。
(p41の問題は解いていない。恐らく試験に出ない発展的内容)


三層性胚盤(発生3週)

15~16日目、胚盤葉上層の上に(a)__が形成され、頭方向の端が原始結節になる。(a)から深く陥入した細胞は胚盤葉上層と胚盤葉下層の間で(b)__を作る(胚盤葉上層は上皮性であるが、陥没して降りた細胞は接着性を失って左右に広がる。胚内中胚葉は頭部と尾部の端では外胚葉と内胚葉の接着が強くて広がらない。(それぞれ脊索前板、排泄腔板と呼ばれる。)将来的にはは、上皮性に残った胚盤葉上層が外胚葉となり、陥没して胚盤葉下層に取り込まれた一部は内胚葉に分化する。胚外中胚葉は周辺で中胚葉組織とつながり、両者の境界はなくなる。(p46下の図がわかりやすい)

17日目、原始結節から頭方向へ(b)の細胞が伸びて、原始窩、脊索突起ができる。やがて1-2日かけて、外胚葉と内胚葉の上皮の間に(c)__が位置する構造ができる(p47の図がわかりやすい)。この時期、沿軸中胚葉、中間中胚葉、側板中胚葉が形成される。18~19日目には頭方向の外胚葉が隆起して(d)__を作り、その正中で落ち込んで(e)__を作る。この時 期口咽頭膜や排泄腔膜ができる。20~21日には、沿軸中胚葉から42-44対の体節が形成される。

(e)は4週目にはふさがって(f)__になる。その側面に側板中胚葉が形成した体節があり、内側に脊索、腸管、体壁ができてくる。p49の図が分かりやすいのでよく確認すること。またこの時期、循環器系のもとになる血管原基と血球の形成が始まる。(卵黄嚢壁の(g)__細胞が、2週後半にところどころで血管芽細胞に分化して孤立性の細胞集団を形成する。内皮管は長さを増しながら全身の内皮管と融合して血管網を形成する。3週目の終わりまでに、やや太い内皮管が左右一対形成され、これが将来の(h)__のもと。)*たぶん、これがすべての血球の由来というわけじゃないので注意。

(a)原始線条 (b)胚内中胚葉 (c)脊索 (d)神経板 (e)神経溝 (f)神経管 (g)間葉細胞 (h)心臓

・神経板が落ち込んで神経溝ができる(隆起構造として残るのが「神経ヒダ」)。神経ヒダの内側は中枢神経に分化するので神経外胚葉と呼ばれ、外側は皮膚外胚葉と呼ばれる。神経ヒダは後で閉じる。

・p53の細胞分化の系統図は重要。わかりやすいのでよく参照してみよう。


胚子期後半(4~8週)

この時期、胚子の発育とともに多くの器官の原基が形成されるため、「器官形成期」と呼ばれる。外因の有害作用に敏感であり、奇形発生の臨界期でもある。

4週目、神経管が閉じ、頚部側面には(a)__が現れ、体節数は30対になる。5週目には胸腹部の心隆起と肝の膨大が著明になり、下肢芽、上肢の手板ができる。6週目、終脳胞が発達して頭部が大きくなり、網膜に色素上皮が発現する。7週目、眼瞼、明確な外耳孔がみられる。8週目、大脳の発達に伴い頭部が丸くなり、上下肢は指、肘、膝が明瞭になる。尾は消失する。外生殖器はまだ未分化。8週目までの個体を(b)__と呼ぶ。

(a)鰓弓 (b)胚子(embryo)

神経管がジッパーのように閉まるのは神経ヒダの癒合によるが、神経ヒダの先端にある一部の細胞((c)__の細胞)は非上皮性になって深部の間葉内に落ち込む。これら(c)の細胞群は以後活発に増殖しながら体内の各所へ遊走し、(d)__や__に分化する。神経管の腔は後に脳室と脊髄中心管になる。頭部側で神経管はくびれて(e)__、__、__に分かれる(内腔は脳室腔と呼ばれる)。*管の実質を作っているのが神経管であることに注意。

脳胞の発生に伴い頭部が膨らみ、体節の発達とともに胚子は屈曲する。同時に卵黄嚢は一部胚子の体内に取り込まれて管状になり、(f)__である__を作る。

(c)神経堤 (d)末梢神経系のニューロン、シュワン細胞、皮膚のメラニン細胞などに分化する (e)一次脳胞(=前脳胞、中脳胞、菱脳胞) (f)消化管の原基である原始腸管(primitive gut)をつくる

*あまり詳しいことは覚えきれないが、形態をみて何週目かわかるようにしたい。


胎児期(妊娠3か月目)

眼瞼、鼻腔が閉じる。肝臓では造血が始まる(赤血球は有核)。妊娠4か月では左右の口蓋突起が癒合して口蓋が形成される。男女差が現れ、多くの骨で骨化が始まる。妊娠5か月で母親は胎動を感じる、男女の判別可能、脾臓でも造血が行われる。妊娠6か月で眉毛や頭髪がみられる。鼻孔は再開し、肺で肺サーファクタントが産生される。妊娠7か月までに骨髄が主要な造血の場となる。

受精後9週目以降を(a)__と呼び、胚子と区別する。形態異常の発生リスクは胚子期に比べて小さいが(b)__や__の分化は主にこの時期に進むので注意を要する。産科で用いる一か月は28日であることに注意。身長の増加は胎児期を通してほぼ一定であるが、体重は特に最後の2か月で著しく増加する。

子宮内での胎児の位置は、(c)__、__、__の3つで表され、臨床的に重要である。それぞれ、胎児と子宮の縦軸の向き、胎児の背中の向き、子宮内での胎児の姿勢を表す。

生存可能な胎児とその付属物が母体外に出ることを(d)__と呼び、生育が可能な児の(d)を(e)__と呼ぶ。(d)の際の子宮の強い収縮が痛みを伴い、これを陣痛と呼ぶ。やがて、胎胞(羊膜胞の一部)が敗れて羊水が流れ出し(破水)、胎児が産道を通過する。

(a)胎児(fetus) (b)生殖器・脳 (c)胎位(fetal presentation)、胎向(fetal position)、胎勢(fetal attitude) (d)分娩(labor) (e)出産(birth)

受精から数えて平均(f)__週間がヒトの妊娠期間である。22週以降に母体の外に出た児を新生児と呼ぶ。新生児には大人と異なる以下の身体的特徴がある。
・頭部が身体の1/4を占める。上下顎が生後発達するため、顔の占める割合は小さい。
・頸が短く、頚椎の前弯がない。上肢と下肢がほぼ等しい。相対的に心臓、胸腺が大きい。
・虫垂・肝臓・知副腎・外陰部が比較的大きい。

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