〇神経科学の問題1

**活性帯以外はOK(180701現在)

脳と神経の基本原理

脳脊髄液とその産生・循環

脳脊髄液(cerebrospinal fluid, CSF)は、(a)__と__を満たす、無色透明の液体であり、脳の(b)__したり、__に役立っている。脳室系の(c)__から産生され、側脳室からは第三脳室に流れ、(d)__を通ってクモ膜下腔(脳槽)に出る。CSFは(e)__で__に吸収される。

空欄に入る語句:
(a)クモ膜下腔と脳室 (b)水分含有量の緩衝や形の維持 (c)脈絡叢 (d)ルシュカ孔やマジャンディ孔 (e)クモ膜下腔で静脈に吸収される

参考:
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/脳室
神経科学―脳の探求(p140)


グリア細胞のそれぞれの機能

グリア細胞には、アストロサイト、シュワン細胞・オリゴデンドロサイト 、ミクログリア、上衣細胞(ependymal cell)がある。

アストロサイトは最も数が多いグリア細胞であり、ニューロン間の空間を埋めている。スポンジ状で、1つのアストロサイトは200万個のシナプス結合部を覆う。約40程度の突起を持ち、シナプスで神経伝達物質の拡散を制限している。また、血液脳関門の形成に寄与している。多様なトランスポーター(GLUT1やアミノ酸、イオン、ABCトランスポーター)を発現しており、血液と脳実質の物質の受け渡しをしているらしい。また、アストロサイト自身がGluを放出することで能動的にニューロンの機能に影響している可能性が近年示唆されている。

中枢神経系ではオリゴデンドロサイト、末梢神経系ではシュワン細胞がニューロンの軸索を絶縁する膜構造を形成する。1つのオリゴデンドロサイトは複数の軸索で髄鞘を形成するのに対して、1つのシュワン細胞は1本の軸索のみを有髄化する。

ミクログリアはマクロファージに似た形態で、よく動き、炎症に応答して活性化すると貪食作用を持つ。造血細胞由来か、神経幹細胞由来かはっきりしていない。ATP(=Find me signal)に応答してミクログリアは遊走し、UDPやPS(=Eat me signal)に応答して貪食作用を示す。

上衣細胞は…。


*ニューロンの静止膜電位とは何か。その成因は

静止膜電位とは、ニューロンが興奮していないときに維持されている細胞膜を挟んだ細胞外に対する細胞内の電位差(電荷の差)である。この値は細胞によって異なるが、約-65mV(-40~-90mV)である。ニューロンは刺激に応じて、活動電位という電気的信号を発生させる。静止時のニューロンに微小電極を刺入すると、電極が細胞膜を貫通した瞬間に負の値を示す。

静止膜電位は二つの成因から生じる。第一に、Na/K-ATPaseが、ATP加水分解のエネルギーを利用して、細胞外へNa+3つを排出し、細胞内へK+2つを取り込む能動輸送を行っている。この輸送はどちらも濃度勾配に逆らって行われている。第二に、K+を選択的に通過させるK+リークチャネルの役割が重要である。K+は濃度勾配に従って、K+リークチャネルから選択的に細胞外へ流出するが、細胞内外での電位勾配が存在するため、K+は細胞内外での濃度が等しくなるほどは流出されない。主にK+リークチャネルを通過するK+の移動が平衡を保つ際の膜電位が、静止膜電位である。K+リークチャネルだけの働きで考えると静止膜電位は-80mVであるが、実際の細胞ではNa+のリークも存在するので、少しNa+流入も影響し、膜電位は約-65mV付近となっている。

以下の表のように、細胞内ではK+イオン、細胞外液ではNa+やCa2+, Clイオンが高濃度に存在する。

イオン 外側(mM) 内側(mM) イオンの平衡電位
K+ 5(mM) 100(mM) -80mV
Na+ 150(mM) 15(mM) +62mV
Ca2+ 2(mM) 0.0002(mM) 123mV
Cl- 150(mM) 13(mM) -65mV

参考:
神経科学―脳の探求(p53)


膜のイオンチャネルの開閉の制御機構と選択的イオン透過性のしくみについて説明せよ

電位依存性イオンチャネル(他にリガンド依存性イオンチャネルなどがある)は、膜電位変化に応じてチャネルを開閉する。電位依存性Naチャネルの電圧センサーは膜を貫通するαヘリックスの一部に存在し、閾値以上の脱分極によってチャネルの立体構造を変化させ、孔が開く。

孔の内側に存在するポアループ(孔形成ループ)がイオン透過性フィルターとして働き、決まった種類のイオンを通過させる。この選択性の程度はチャネルの種類に依存する。


活動電位の発生と伝導

ニューロンに刺激が加わったときに発生する3種類の電気信号を挙げ、それぞれについて説明せよ

ニューロンに発生する電気信号には(a)__・__・__の3種類が挙げられる。受容器電位とは、外界からの刺激を受けて感覚受容器細胞に発生する膜電位の変化である。シナプス電位とはシナプス伝達の結果、シナプス後膜に発生する膜電位の変化である。活動電位とは、ニューロンが興奮した時に生じる、極性の逆転を伴う、瞬間的な膜電位の変化である。

空欄に入る語句:
(a)受容器電位・シナプス電位・活動電位

ニューロンの活動電位とは何か。その発生および伝導の性状

閾値以上の刺激に反応して、ニューロンの膜電位がマイナスの静止膜電位から(b)__することを指す。細胞膜局所が脱分極している時間は一瞬であるが、この膜電位変化は軸索を伝わり、シナプス後膜から神経伝達物質を放出する。活動電位は(c)__に、__せず伝導する。軸索に巻き付く髄鞘が伝導に絶縁性を与える。

空欄に入る語句:
(b)プラスの膜電位へ脱分極 (c)軸索を順行性に、減衰せずに伝導する

活動電位発生時のチャネル開閉と不応期を説明した以下の文章の空欄を埋めよ

(d)__ると、(e)__が開き、細胞内にNa+イオンが流入する。Na+チャネルはすぐに(f)__するため、Na+流入は一過性である。Na+チャネルより遅れて(g)__が開き、__する。結果、脱分極した細胞膜が再度分極する。

電位依存性Naチャネルは開口後すぐに、細胞内側の構造変化により孔(=”不活性化ゲート”と呼ばれる)が閉じられ、不活化状態になる。この期間は(h)__と呼ばれ、どんな電位変化を与えてもチャネルが開かない。絶対不応期の後、細胞内でNa+の不活性化ゲートが開き始めると、通常より強い刺激を与えれば活動電位が発生する期間があり、これが相対不応期と呼ばれる。

*電位依存性Na+チャネルの開口は、(i)__が、閾値以上の脱分極に反応してチャネルの立体構造を変化させることによる。孔の内側に存在する(k)__がイオン透過性フィルターとして働き、決まった種類のイオンを通過させる。選択性の程度はチャネルの種類に依存する。
 
空欄に入る語句:
(d)膜電位が閾値を正に超えると、(e)電位依存性Na+チャネルが開き (f)不活化する (g)K+チャネルが開き、K+が流出する (h)絶対不応期 (i)膜貫通するαヘリックスの一部に存在する電圧センサーが (k)ポアループ(孔形成ループ)
*大雑把に言って、Na+流入による最初のスパイクが0.1msec弱程度。


軸索において活動電位がどのように伝導されるか

(特にランビエ絞輪に存在する)電位依存性Na+チャネルの開くと、流入するNa+イオンによって局所の膜電位変化が発生する。周りのNa+チャネルはその電位変化を検出して、同様にNa+を流入させる。一度開口したNa+チャネルはその後不活性化するため、Na+チャネルの開口が伝わっていくのは軸索の一方向であり、順行性である。髄鞘を持つ軸索では、跳躍伝導により速い伝導がなされる。また、絶縁されているため隣の軸索へと電位が伝わることもない。


シナプス伝達

神経伝達物質の放出機序に関する以下の文章の空欄を埋めよ

到達した活動電位に応答して(a)__が開き、Ca2+が細胞内に流入する。シナプス後膜に待機している(b)__は、(c)__を検知してエキソサイトーシスされ、内部の神経伝達物質が(d)__に放出される。

グルタミン酸がシナプス後膜にある伝達物質作動性イオンチャネルに結合すると、シナプス後細胞に陽イオン(主にNa+)が流入し、EPSPが起きる。EPSPは膜電位を、活動電位が発生するための閾値に近づけるため、このシナプスは「興奮性」であると言われる。(e)__や__は、シナプス後膜にある伝達物質作動性イオンチャネルに結合すると、シナプス後細胞で、(f)__イオンが__て、IPSPが起きる。膜電位が活動電位を発生するための閾値から遠ざかるため、抑制性シナプスである。

EPSPであってもIPSPであっても、加重された膜電位変化が閾値を超えていれば、シナプス後細胞に活動電位が発生することになる。加重には時間的加重と空間的加重があり、時間的加重は(g)____、空間的加重は(h)___されることである。これらの加重の結果、活動電位発生の有無が決まる

(a)Ca2+チャネル (b)シナプス小胞 (c)Ca2+濃度の上昇 (d)シナプス間隙 (e)GABAやグリシン (f)陰イオン(Cl)が流入 (g)同一のシナプスから連続してシナプス入力を受けることで膜電位変化が加重される (h)ほぼ同時に別のシナプスが入力を受けることで、近傍の膜電位変化が加重される

中枢神経系のシナプスと神経筋接合部のシナプスにおけるシナプス伝達の機能の違いを概説せよ

運動命令に対して確実に筋を動かす必要があるため、神経筋接合部では、筋細胞を脱分極させるために十分なEPSPが起こされる。一方中枢神経系では一つのニューロンに多数のシナプス入力があり、EPSPの加重の結果、活動電位の発生の有無が決まる。

参考:
神経科学―脳の探求(p99)

*神経筋接合部の形態と情報伝達の機序、中枢神経との違いについての以下の文章の空欄を埋めよ

筋線維に運動ニューロンのシナプス前終末が接続する。シナプス間隙のシナプス前終末側でシナプス小胞が待機している部位を(a)__と呼ばれる。その向かいで、シナプス後筋線維側の受容体が存在する領域は(b)__と呼ばれる。神経伝達物質としてアセチルコリンが放出され、筋線維側に存在する(c)__がイオンチャネルとして働き、脱分極を起こす。中枢神経系では一つのニューロンに多数のシナプス入力があって、EPSPの加重の結果活動電位発生の有無が決まるが、神経筋接合部では運動命令に対して確実に筋を動かす必要があるため、筋細胞を脱分極させるために十分なEPSPが必ず起こる。

(a)活性帯 (b)運動終板 (c)ニコチン受容体

参考:
神経科学―脳の探求(p88)

脳波について、4分類して説明せよ
α波安静・閉眼・覚醒時8-13Hz(測定する際は基本)
β波開眼・精神活動時14-30Hz(細かい波のやつ)
θ波REM睡眠・浅い睡眠4-7Hz(がたがたの徐波)
幼小児でみられる
成人で脳機能障害の覚醒時にみられる。
δ波深い睡眠1-3Hz(大きい波の徐波)
幼小児でみられる
成人で脳機能障害の覚醒時にみられる。

参考
てんかんの診断や、意識障害、睡眠異常の診断に用いられる。
病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経(p567-569)を参照

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です