・呼吸生理

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呼吸生理

換気力学

(1)呼吸筋は、呼吸中枢によって制御される骨格筋である。主なものを挙げよ。

横隔膜・外肋間筋・補助呼吸筋・呼息筋。このうち補助呼吸筋は吸うための筋肉である
参考:
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2265
https://ja.wikipedia.org/wiki/呼吸筋

(2)肺活量と一回換気量の意味と、2種類の換気障害について、下記の空欄を埋めよ。

肺活量(VC, vital capacity)とは、(a)____のことである。 肺の全肺気量から(b)__を引いた値と一致する。肺活量は(c)__mlが標準とされ、残気量は(d)__mlあるとされる。一回換気量(VT, tidal volume)とは、安静時に一回の呼吸で肺に出入りする空気量であり、正常で約(e)__mlである。スパイロメトリーで計測される。

比肺活量とは、肺活量測定値を予測値(性・年齢・身長から予想される値)で除算したもので、(f)__%以上あれば正常であるとされる。1秒率(FEV1%)とは、(努力性)肺活量のうち最初の一秒間に吐き出された量(1秒量)の割合である。(g)__%以上が正常であるとされ、一秒率の低下は(h)__性の換気障害の存在を示唆する。逆に、1秒率が正常で肺活量が低下している場合、(i)__性の換気障害が示唆される。

呼吸仕事の要素として、(j)__仕事と(k)__仕事の二つを考えることができる。前者では主に肺コンプライアンス、後者では主に気道抵抗が、呼吸仕事に影響する要因となる。

(a)息を最大限吸い込んだ後に肺から吐き出せる空気量 (b)残気量 (c)3000~4500ml (d)1500ml (e)500ml (f)80% (g)70% (h)閉塞性 (i)拘束性 (k)弾性仕事 (l)粘性仕事


(3)肺コンプライアンス(C=V/P)には、静肺コンプライアンスと動肺コンプライアンスがある。それぞれの意味をグラフを含めて説明せよ。

静肺コンプライアンスは、気道の流れのない状態で(呼吸を止めて)測定する。機能的残気量(FRC)の状態と、FRC+500mlの状態での圧力差から、C=V/Pを求める。純粋に、肺胞のふくらみやすさを意味する。動肺コンプライアンスは被験者に呼吸をしてもらいながら測定する。粘性があるので形が広がる。表面張力が寄与しているらしい。

参考
http://medt00lz.s59.xrea.com/wave/node4.html
レジデント初期研修用資料(上記URL)より、以下の図を引用。


(4)ラプラスの法則の意味を説明せよ。肺胞の径を保つためにサーファクタントによる表面張力が必要であることと併せて答えよ。

小さい径で大きさを保つにはより大きな内圧が必要である(ラプラスの法則)。小さい肺胞が縮まらないように、(m)__細胞が分泌する肺サーファクタントによる表面張力が重要である。

(m)II型肺細胞(II型肺胞上皮細胞)

参考
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2272
https://ja.wikipedia.org/wiki/肺サーファクタント

(5)拘束性の疾患ではふつう呼吸数が増える(閉塞性では減る)。この理由を説明せよ。

ガス交換(試験に出る)

(1)理想的なガス交換の条件を3つ挙げよ。

・換気が十分にあること
・換気と血流のバランスがとれていること
・拡散がスムーズであること

(2)動脈血のガス分圧を規定する要因を6つ挙げよ
(PaO2について6つ、PaCO2について1つ。)

・大気圧(PB, barometric pressure):高地ではPaO2が下がる
・吸入気ガス濃度(Fi):酸欠環境(酸素が21%ない場合)はPaO2が下がる
・肺胞換気量(VA):呼吸中枢異常、呼吸抑制剤、呼吸筋の疲労によりPaO2とPaCO2が下がる
・換気・血流比(VA/QA):痰貯留や肺炎によりPaO2が下がる(CO2は正常に拡散)
・ガス拡散能力(DL):肺うっ血、間質性肺炎によりPaO2が下がる(CO2は正常に拡散)
・静脈性短絡率(Qs/QT)(シャント率):肺水腫、無気肺によりPaO2が下がる(CO2は正常に拡散)

まとめると、環境の変化(大気圧や酸素分圧の低下)は動脈酸素分圧に影響するが、(排出される)二酸化炭素分圧に影響しない。残りは身体側の要因であるが、動脈の二酸化炭素分圧に影響するのは、そのうち(a)__のみである。

(a)肺胞換気量
*酸素瀑布の試験問題ではあまり考える必要がないが、機能的死腔の割合が動脈と肺胞気でのCO2分圧の差を生み出すことには注意(単に拡散するから分圧は同じなわけではなく、肺胞換気量=一回換気量-死空量である。ただし、肺胞式の問題を考える際はふつう、PACO2=PaCO2を仮定している。)

(3)酸素瀑布(O cascae)について、以下の語を使って図を書いて説明せよ

大気圧(760mmHg)、飽和水蒸気圧(47mmHg)、吸入気の酸素分圧(PiO2)、肺胞気の酸素分圧(PAO2)AaDO2(=PAO2とPaO2の差)。


(縦軸は酸素分圧である)

説明:
肺胞式を、

PAO2 = (760-47)x0.21 – PaCO2/0.8

と近似することができ(CO2は拡散により動脈と肺胞気で分圧が等しいとしている)、肺胞気での酸素分圧(PAO2)が求められる。ここから、動脈血酸素分圧との差であるAaDO2を求めることができる。試験に出るので、計算問題を確実に行っておくこと。

(4)AaDO2の開大をきたす要因を3つあげよ。

・換気血流比の不均等な分布
・ガス拡散の障害
・静脈性短絡(シャント)の増大(上記の極端なものとしても解せる。心室の先天性の穴など)

なお、正常値はAaDO2=5~15mmHgである。20mmHgを超えると肺胞でのガス交換障害を示唆する。


酸素飽和度

(1)酸素解離曲線を描き、右方偏位と左方編位の意味を生物学的な例を挙げて説明せよ。

説明
縦軸がヘモグロビンの酸素飽和度(SO2)。左方偏位ではより低い分圧で酸素を結合する。右方偏位では逆に、結合力が下がる。アシドーシスや高体温では右方偏位する。つまり、酸性環境ではヘモグロビンは酸素を放出する。また胎児ヘモグロビンは酸素結合能が高く、曲線は左方に偏位する。

説明:
酸素分圧PaO2の大体の正常値は100mmHgである。動脈血の酸素含量(CaO2)はヘモグロビン結合酸素+溶存酸素(PaO2に依存)であるが、酸素運搬はこのうち前者がほとんどを担う。むやみにPaO2を上げても酸素含量はほとんど変わらない(ことも多い)。

例えば簡単な計算問題で、PaO2=100mmHg、末梢でPO2=40mmHgとすると、酸素の飽和度の変化がわかり、つまり組織に放出された酸素量が推測できる。

呼吸性アシドーシスの理解に、次式の理解が必要:

血漿中のCO2の大部分は赤血球内に入り、一部(5%)はHbに結合するが、残りは、

 CO2 + H2O ⇄ H2CO3 ⇄ HCO3 + H+

できたプロトンはCLまたはHbと結合。上式の平衡が右に偏れば呼吸性アシドーシス。


(2)内呼吸について復習せよ。

気道の構造

(1)肺胞に至るまでの部位の名称とそれぞれの軟骨・平滑筋の有無を説明せよ

説明:
気道は、気管・気管支・細気管支・終末細気管支・呼吸細気管支(呼吸部に含まれる)・肺胞管・肺胞嚢の順に構成される。
平滑筋は細気管支まで存在し、迷走神経により収縮する。軟骨は気管支まで存在する。また、喉頭蓋(epiglottis)は喉頭の上縁を構成しており、嚥下時に気管に蓋をするように動く。

(2)肺胞の細胞構成を説明せよ。(毛細血管の他に、I型およびII型肺胞細胞)
呼吸調節について

動脈血のPaO2とPaCO2を正常範囲に維持するように、呼吸は(a)__で調節されている。また大脳皮質からの指令も随意的な呼吸もできる。延髄の呼吸中枢は(b)__にあり、吸息中枢と呼息中枢の位置は区別ができる。

中枢の化学受容器は分単位の呼吸制御に最も重要であり、(c)__に存在し、脳脊髄液の(d)__に対する感受性が高い。CO2が拡散でCSFに入り、HCO3とともにH+が発生する。(BBBを通過したCO2によるH+増加を検知する。H+やHCO3自体はBBBを通過しにくい。動脈血のPaCO2には間接的な反応らしい。)

末梢での化学受容器では、(e)__にある__と、(f)__にある__に受容器があり、迷走神経を介して延髄の吸息中枢に情報を送り、呼吸頻度が調節される。化学受容器のほかには、肺伸展受容器、関節・筋受容器、イリタント受容器(侵害性の化学物質や粒子)などからのシグナルが呼吸調節に影響する。

(a)脳幹の呼吸中枢 (b)延髄腹側の大孔付近に呼吸中枢 (c)延髄(中枢の化学受容器) (d)脳脊髄液のpH変化を検知する (e)内頚動脈が分岐するところに「頸動脈小体」、大動脈弓には「大動脈小体」があり、PaO2、PaCO2、pH検知を行う。

以下のようにざっくり覚えてもよし:
 中枢化学受容器:延髄腹側CO2センサー(直接検知するのはH+
 末梢化学受容器:頸動脈小体・大動脈小体のO2センサー
 +肺伸展受容器、筋・関節受容器
→呼息中枢→横隔膜

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